筆まめ小僧のひとりごと
書作品の分類E
update: 2011/03/31
最後に部門別の分類の仕方について述べておきたい。
全国規模の大きな書道展などでは、作品の種類によっていくつかの部門を作っている。
たとえば漢字部・かな部・少字数書部・現代文体部・篆刻部・刻字部・前衛部などである。
その名称や規定は展覧会によって大きく違っているのだが、そこにはそれぞれの展覧会における
「書とは何か?」という主張を感じることが出来る。現在、全国規模の大きな書道展といえば、
日展を除けば大手の新聞社が開いている展覧会が挙げられる。
読売新聞、産経新聞、毎日新聞がそれぞれ書道展を開いているし、
朝日新聞はこれとは別に日本のトップ二十人だけの書展を毎年開催している。
私のイメージでは、伝統を重んじる読売、常に最先端を求める産経、
そして書の本筋を見極めようとする毎日、というふうに感じてはいるが、
それぞれに主張とこだわりを持っていて、どれが正しいのかは、
個人の判断に任せるほかなさそうだ。そして、「書とは何か?」という疑問は、
書の道を進む者にとって書が消滅しない限り永遠のテーマであり続けることだろう。
ただ、日本と中国のこれまでの書の歴史の流れを知り、
その流れの上に立ってこのテーマを考えたとき、
おのずから答えは出てきそうな気がするがどうだろう。
はじめから一つの展覧会の主張を信じてのめり込むのもいいが、
この三つの大きな書道展を自分の目で見比べてみるのも、
もしかして新しい発見があったりして楽しいのではないだろうか。
書作品の分類D
update: 2010/07/31
ついでに表装の仕方による分け方にもふれておきたい。
書作品の場合、既に裏打ちをしてピンと伸びた紙に向かって書くことはあまりない。
色紙や短冊に書く場合ぐらいのものだろう。ただ、最近は良質の紙を色紙や短冊の大きさに切
って書き、うまく書けたものを貼り付けるということもしているようだ。そのほうがいろいろな意味
で経済的なのかもしれない。
裏打ちをしていない作品は「まくり」という。
経費節減のため「まくり」のまま審査をする展覧会が現れているという話を聞いた。
入選が決定した作品だけ表装をして展示するシステムなのだが、確かに無駄な出費が省ける
かもしれないが、表装を含めた充分な審査、鑑賞ができるのかは疑問だろう。
それはともかく、書作品の場合は、書き終わったらまず裏打ちをする。
裏打ちをしないで放って置くと作品が傷みやすいし虫食いも出来かねないので気を付けたい。
書作品の表装としては大きく分けて二種類ある。一つは額装、もう一つは軸装である。額装に
ついては絵画などでも使われているように、作品にあわせた大きさの額の中に作品をおさめる。
時代劇などを見ていると、襖などに文字が書かれていたりするが、これも額装の一つといえるだ
ろう。軸装は日本の床の間に掛けるのに都合よく、クルクルと巻いて片付けることができる。
額装に比べて、保存しやすいし場所もとらないので最近見直されてきているようだ。いずれに
しても、表装の仕方ひとつで作品の雰囲気を変えてしまうし、作品の価値そのものにまで影響
を及ぼしかねないものである。飾る場所なども考慮に入れた表装が望まれる。
書作品の分類C
update: 2010/07/09
お習字のときに使う紙は全て「半紙」であると勘違いしている人がたまにいる。
この「半紙」というのは紙の大きさを示す言葉のひとつであるということを知っておかなければ
ならない。日本では紙(作品)の大きさによっていろいろな名前をつけている。
「小色紙」、「短冊」といったところが最も小さい大きさだろうか。
次に「大色紙」、「半紙」の順になると思う。「懐紙」も大きさの単位として使っている。
更に大きくなってくると今度は「全紙」というのが基本単位になる。
縦約一三五センチ×横約六五センチの大きさで、全紙1/2とか1/3とかいう言い方があるし、
全紙二枚とか四枚という大作の大きさを示す場合にも便利だ。
たたみ二畳分の大きさなどという言い方はめったにしないので注意したい。
そして特に全紙を半分にしたものを「半折(切)」、全紙を縦に幅二〇センチほどに切ったものを
「聯」、その聯を除いた残りの幅のものを「聯(連)落ち」という。
このあたりになってくると多少専門的になるかもしれない。
ちなみに「条幅」という言葉は縦長い作品の総称で、長さ二メートル超の大作から半折1/4程度
の大きさのものまで含むので注意が必要だ。
さらに半折横置きの作品は特に「扁額」とか「横もの」といった言い方をしている。
作品の大きさによる分類もいろいろな種類があってなかなか大変だが、間違った理解だけはし
ないように心がけてほしいものだ。
書作品の分類B
update: 2010/06/27
ところで楷書と行書と草書とはどうやって区別するのだろうか。
この定義はなかなか難しい面があり、これといって決まった規則はない。
しかし通常一般的な約束事のような意味合いで考えて独断と偏見で次のように定義したい。
「楷書は点画がひとつひとつ離れている。行書は点画が一箇所以上連続している。
草書は点画を一箇所以上簡略あるいは省略している。」
この定義はすべてに通用するというものではもちろんない。
一とか二などという文字はあてはまらない。
しかしこの定義に当てはめれば、書体として理解し易いのではなかろうかと思う。
ところで、書作品の中には行草作品というふうに、一つの書体だけで仕上げているのではな
く、二種類以上の書体を混ぜて表現している作品がたまにある。
行書と草書の場合はとても近い書体と言えるので、それほど違和感はないし、よく使われて
いる。しかし行書と隷書、篆書が混ざると何か統一感の無い、奇妙な表現の作品になってし
まう。これを破体作品という。性質のまるで違う書体を組み合わせた書作品は、成功する可
能性はほとんどないと言える。
書作品の分類A
update: 2010/06/07
書体による分類については、書道史とも深い関わりを持ってくる。
主な書体としては、楷書、行書、草書、隷書、篆書、金文、甲骨文といったところだろうか。
このほかにも、木簡、帛書、北魏の書等など細かく分ければまだいろいろと名前が出てくる。
さて、これらの中でも現在もよく使われている書体である楷書や行書、草書については、
かの有名な王羲之により完成されたということになっている。
それにしても紀元四世紀の頃だから今からざっと千六百年以上も前の話になる。
それ以来新しい書体は生まれていないということになるのはどう考えたらよいのだろうか。
書作品の分類@
update: 2010/06/01
書作品の分類といってもいくつかの種類がある。
@楷書や行書のように書体によって分類する場合、
A色紙や全紙などというふうに作品の大きさで分類する場合
さらには総合書道展などで見かけるように、
B素材などの部門による分類の場合
がある。ひとつの書作品を説明する場合、
「この作品は、行草漢字半折縦書作品」などという言い方をする。
更に創作と臨書とに分けたり濃墨と淡墨に分けてみたりする場合も考えられる。
なかなか大変なことである。そしてさらに深く説明すれば、「何時代の何某の書風に近い。」とか
「有名な誰某先生の流れをくんでいる。」とか、なかなか意味のわかりにくい説明が添えられて
いたりするが、ここまでやってしまうと、それなりに予備知識がなくては理解しにくくなってしまう。
多少でも書を勉強しているものは、先の@〜Bの分類の仕方ぐらいは常識として持っていてほ
しいものだ。







